アダルトチルドレンの克服方法を詳しく解説！

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生きづらさを感じてしまう原因になるアダルトチルドレン。 まず、アダルトチルドレンとはどのようなものなのか見ていきましょう。

アダルトチルドレンとは、幼少期の家庭環境が原因でトラウマを負った成人のことを言います。 元はアルコール依存症の親を持つ家庭の子どもに問題が多いという説が唱えられ、1970年ごろから提唱されるようになりました。 幼少期に家庭内で抑圧や暴力などを受け、十分な愛情や承認を得ることができなかった人は、大人になってから生きづらさを感じるようになります。 こうした人は自己否定感が強くなりがちで、時には精神疾患にかかってしまう場合もあるのです。

先ほどもご紹介した通り、アダルトチルドレンは幼少期の家庭環境に原因があると言われています。 例えば、ある家庭で父親がアルコール依存症だったとします。 母親は父親に酒を飲ませると暴力を振るうことがわかりつつ、毎日酒を用意してしまうでしょう。 こうした夫婦関係を「共依存」の状態と言います。 共依存は、やがて家庭の不安定化や家庭内暴力などを引き起こし、家族は機能不全に陥っていくのです。 こうした「機能不全家族」の中で、子どもは甘えたい自分を押し殺して、上手く振る舞おうと「良い子でいよう」「家族を仲介しよう」などと無理してしまいます。 このような幼少期の葛藤が、大人になって表面化してしまうというわけなのです。

それでは、アダルトチルドレンと呼ばれる人にはどのような特徴が見られるのでしょうか。 代表的なものを10個ご紹介していきます。

アダルトチルドレンは、機能不全家族で育ってきています。 そのため、本来であれば幼少期に親から褒めてもらえるようなことも、褒められなかったことでしょう。 子どもは良いことをすれば親から褒められ、逆に悪いことをすれば親から叱られます。 このようにして、自分の存在価値や善悪の判断を学んでいくのです。 一方でアダルトチルドレンは、自分のやったことを褒められた経験がないので、自らの存在価値を認めにくくなります。 結果として自己肯定感が薄くなりがちなのです。

子どもの頃に十分な愛情を受けられなかったアダルトチルドレンは、極端に孤独を感じ、常に寂しさを感じていることがあります。 自分の居場所が見つけられないため、心を許す存在があるとそこに居場所を見つけ、思わず依存してしまいがちです。 恋愛や友情など人間関係だけでなく、アルコールやギャンブル、性行為などに依存してしまう場合もあります。 特に信頼する恋人や友人に依存してしまうと、相手から見捨てられたくないと思うあまり束縛し、時には相手を困らせたり恐怖に陥れることで自分から離れるのを阻止しようとします。 これは、本人にとっても相手にとっても辛い状況に陥りかねません。 しかし、幼少期親に見捨てられた感覚があるアダルトチルドレンにとっては、なかなか回避できないものでもあるのです。

アダルトチルドレンには、いくつか種類があると言われています。 中でもヒーロータイプと呼ばれる種類のアダルトチルドレンは、優等生を演じてしまいがちです。 幼少期に機能不全家族で育った子どもは、少しでも親に認めてもらうよう頑張ろうとします。 さらに、自分が頑張ることで家族が穏やかでいられると考えるのです。 頑張るのをやめたら親から見捨てられてしまうという恐怖もあり、常に優等生でいようと努力します。 そのまま大人になっても優等生を演じてしまうというわけです。 頑張っていられる内はいいのですが、いずれ疲れる時がやってきます。 これ以上頑張れないと思った時には、心がボロボロになっているのかもしれません。

アダルトチルドレンの最大の要因は、幼少期に機能不全家族で育ったことにあります。 この概念が生まれるきっかけとなったアルコール依存症の親がいる家庭だけでなく、DV、親からの肉体的・精神的虐待、ネグレクトなど何らかの問題を抱える家庭環境で育った子どもは、アダルトチルドレンになってしまう可能性があると言えるでしょう。 また、最近よく言われる「毒親」も原因になることがあると言われます。 毒親とは、子どもの成長に害を及ぼす親のことで、子どもは常に親からの否定を受け続けることになるのです。 子どもの成長にとって親の重要度は極めて高く、そこに問題があると、成人しても影を落とすことがあります。

親から直接的に暴力を振るわれたり、ネグレクトによって愛情を受けられなかったり、という場合だけでなく、むしろ厳しい教育を受け続けた人もアダルトチルドレンになる場合があります。 教育＝愛情だと思いがちですが、行き過ぎた教育はむしろ悪影響になることがあるのです。 どれだけ頑張っても、親から褒めてもらえない。 問題が解けないと、親から厳しく叱られる。 そんな経験が積み重なっていくと、自然と自分を押し殺して、親の言いなりになっていきます。 その結果、自己否定的で常に他人の顔色を伺うアダルトチルドレンに成長していくのです。

アダルトチルドレンの多くは、幼少期の家庭においてトラウマになるような体験をしています。 それは、両親の離婚や死別などポイントになるような大きな出来事という場合もあれば、日常的に繰り返された虐待やネグレクトなど、日々の積み重ねという場合もあるでしょう。 こうした出来事を通じて、「自分は誰からも愛されない存在」「誰かが振り向いてくれても、いつか見捨てられてしまうかもしれない」などという失望感や恐怖を感じてしまい、それを抱えたまま大人になってしまったのです。

アダルトチルドレンのいくつかある分類の中でも、ロストワンタイプと呼ばれる人に多く見られるのが二面性です。 ロストワンタイプとは、幼少期に家庭内での存在を消すことで生き残ったアダルトチルドレンのことを言います。 つまり、自己防衛のために自らを押し殺してきたのです。 そのため、自立して自己防衛の必要がなくなっても「本当の自分」が出せなくなります。 すると心の中の「本当の自分」と、外向きの自分の間に乖離を感じ、それが二面性となって表出するのです。 この感覚のことを「離人感」と呼び、他人とのコミュニケーションを難しくさせる要因にもなります。

アダルトチルドレンの多くは、いつも周囲の人々の顔色や環境に気を配り、自分が見捨てられないよう気を張っています。 ましてや、優等生を演じ続けたり、自分を押し殺していたりという状態を続けていれば、いつもストレスを感じることになるでしょう。 ストレス発散方法を知っていれば良いのですが、多くの人は自分の中で何とか処理しようとします。 ただでさえ無理しているのに、その上でストレスを処理しようとすれば、いずれ限界を迎えるのも無理はありません。

家庭環境が原因で生きづらさを感じるなら、両親に訴えればいいのではないかと思う人もいることでしょう。 しかし、アダルトチルドレンは両親に逆らうことができません。 両親の絶対的な支配から逃れることができない中で、生き抜くために自らを押し殺してきたのです。 両親から嫌われたくない、見放されたくないという思いが強く、逆らえば両親から切り捨てられてしまうという恐怖があります。 両親に問題があるとは言え、その両親からの愛情を受けたいという子どもとして当たり前の願望が、根底にあることを忘れてはいけません。

ここまでご紹介してきた通り、自己肯定感が薄く、常にストレスを感じて生きているアダルトチルドレンは、いつもどこかで生きづらさを感じています。 例え原因が幼少期の家庭環境にあるとわかっても、それを誰に相談すればいいのでしょうか？ プライベートな問題だからこそ、誰にも相談できず、抱え込んでしまうということもよくあるのです。 こうした生きづらさが精神疾患や自傷行為、最悪の場合は自殺に結びついてしまうこともあるでしょう。

自己肯定ができず、常に生きづらさを感じているアダルトチルドレン。 このような人たちは、多くの問題を抱えていることがあります。 つづいては、アダルトチルドレンがどのような問題を抱えているのか、見ていきましょう。

生きづらさとストレスを感じ続けたアダルトチルドレンは、知らぬ間に精神障害を患っていることがあります。 アダルトチルドレンと一言で言っても、分類がいくつかあるというのはご紹介した通りです。 そのため、タイプによって様々な精神障害が見られます。 代表的なものとしては、パニック障害などの不安障害、うつ病、PTSD（心的外傷後ストレス障害）、境界性人格障害、適応障害などがあります。 ある研究では、アダルトチルドレンと考えられる人は抑うつ傾向が強いという報告もあり、家庭環境の問題が心を蝕んでいるということが言えるでしょう。

アダルトチルドレンは、本来一番信頼できるはずの親から認められない、もしくは見捨てられたという経験を持っています。 そのため、なかなか他人を心から信頼することができません。 仲良さそうに振舞っていても、どこか相手に対して疑心暗鬼なところがあり、表面的な人間関係に終始しがちです。 一方で、恋人や親友など信頼できると思った相手に対しては、失いたくないあまり依存してしまうことがあります。 このように人間関係が極端になってしまうというのは、アダルトチルドレンの多くが抱える大きな問題です。 また、人と親密になりたいと思いながら心から信頼できないという葛藤も起こりがちでしょう。

幼少期に親から認められず、褒められた経験にも乏しいアダルトチルドレンは、自己否定感が強いという問題も抱えています。 人は誰しも「人から認めてもらいたい・褒めてもらいたい」という承認欲求を持っており、この欲求が満たされることで、自分自身を適切に評価することができるのです。 アダルトチルドレンは、幼少期に承認欲求を満たされることが少なかったため、自分を過度に低く評価してしまいます。 その結果自己否定感が強くなり、自分自身を大切に扱えなくなってしまうのです。 恋人や親友に依存し、身を滅ぼすほど尽くしてしまうことがあるのも、これが原因でしょう。

自己否定感が強く自分を大切にできないと、自傷行為、あるいは最悪の場合自殺に至ってしまうこともあります。 常に生きづらさやストレスを感じ続けていると、そんな辛い日々から抜け出せない感覚に陥っていきます。 生きていても仕方がない、生きている実感が湧かない状態になり、自らを傷つけることで脱出を図ろうとするのです。 自傷行為には、自らの血を見たり痛みを感じたりすることで「自分が生きている」ことを実感するという意味合いがあります。 普段生きている心地がしない人は、自傷行為によって自らの存在を確認しているという節もあるでしょう。

ただでさえ生きづらさを感じているアダルトチルドレンをさらに追い込んでしまうのが、アダルトチルドレンは世代間での連鎖が起こりうるということです。 すなわち、アダルトチルドレンが親になると、その子どももアダルトチルドレンになる確率が高いということが言えます。 人は親になった時、自分の親からしてもらったことを参考にして、子どもと接しようとするでしょう。 そのため、親から十分な愛情を受けられなかった人は、いざ自分の子どもを育てる段になっても、どうやって愛情を注げばいいのかわからなくなるのです。 こうした世代間の連鎖を恐れるあまり、結婚や出産を回避しようとするアダルトチルドレンも多くいます。

幼少期の家庭環境に原因があるため、なかなか抜け出せないアダルトチルドレン。 とは言え、自ら克服していくこともできるのです。 ここからは、アダルトチルドレンを克服する方法をご紹介していきます。

アダルトチルドレンを克服するにあたり、適切な人間関係を築くことはとても大切です。 信頼する人から見捨てられたくないあまり依存してしまったり、逆に疑心暗鬼で信頼関係を築けなかったりという極端な人間関係は、問題をさらに複雑化してしまいかねません。 逆に、適度な距離感で人間関係を築くことができれば自分の居場所ができて、徐々に本当の自分を見せることができるようになるはずです。 ただ、実際にはすぐ築けるものでもないでしょう。 そういう時はカウンセリングを受けるなど、解決の糸口を探ることも有効です。

アダルトチルドレンを克服する上で、最大の壁は自分自身と言っていいでしょう。 どんなに克服したいと願っても、自分自身で否定してしまっては元も子もありません。 そのためにも、まずは自分を肯定してあげる必要があります。 自己肯定のためにカウンセリングや治療を受けるというのもいいですが、自分で簡単にできる方法もあるのです。 それは「その日自分が達成できたこと、克服できたこと」を書き出していく、という方法です。 朝早く起きられた、寝る前に本を読めた。 そんな小さなことでも構わないので、とにかく自分がやったことを自分で褒めてあげましょう。 小さな積み重ねが、やがて自分自身を肯定することにつながっていくのです。

繰り返しになりますが、アダルトチルドレンを生み出す最大の原因は幼少期の家庭環境にあります。 両親との関係性が、心の諸問題を引き起こしているのです。 だからこそ、アダルトチルドレンを克服するにあたり、時には両親と決別するのも有効な一手となるでしょう。 親子の関係は切ることができない、と社会通念的に考えるだけではどうにもならないことがあります。 子どもに悪影響を及ぼす親であれば、子どもの方から縁を切ることだって選択肢なのです。 原因となった両親と決別することで、新たな人生のスタートを切ることができるかもしれません。

適切な人間関係を築き、自分自身を肯定できるようになったら、次のステップとしてやりがいを見つけるといいでしょう。 自己否定感が強い状態だと、自分では何をやってもダメだという気持ちになりがちです。 しかし、自己肯定ができれば、何かにチャレンジする気持ちが湧いてくるでしょう。 これまで自分のやりたいことを無意識のうちに押し殺していたはずです。 そんな思いを解放して、自分のやりたいことのために時間を割いてみましょう。 生きる上でのやりがいを見つけることで、自分として生きる喜びに気づくことができるに違いありません。

アダルトチルドレンの克服において、理解しておかなければならないことがあります。 それは、自分だけでどうにかしようとしない、ということです。 一人ですべてを克服しようとすれば、達成できなかった時に、またも自己否定を強める結果になりかねません。 そうならないためにも自分を認め、ともに向き合ってくれる、よき理解者を探しましょう。 恋人や友人が認めてくれるなら何よりですし、精神科医や心理カウンセラーでもいいのです。 自分をわかってくれる人が一人いるだけで、心がスッと軽くなるでしょう。

何かを克服したい時、先人の知恵や専門家の見識というのがヒントになるものです。 アダルトチルドレンの克服に役立つ本をご紹介していくので、ぜひ参考になさってください。

「生きづらさの正体はアダルトチルドレン」の著者・梅岡幸子さんは、自らも毒親がいる機能不全家族で育ち、自らがアダルトチルドレンであることを自覚しています。 著者自ら悩んだ経験をもとに得た、解決策や癒しの方法を授けてくれる一冊です。 自身がアダルトチルドレンなのかどうか、はっきり認識できていない人こそ読むべきかもしれません。 100ページ未満で文字数も少ないので、気軽に読めますよ。

「アダルトチルドレンを克服したければ、父性を身につけなさい」は、アダルトチルドレン専門カウンセラーである大堀亮三さんの著作です。 女性カウンセラーでは解決できない問題に答えており、アダルトチルドレンを克服するためには父性を理解する必要があると説いています。 アダルトチルドレンの中でも、特に男性との関係に悩む女性や、上司との関係に悩む人などにオススメしたい一冊です。 これもページ数が少なく読みやすいので、気軽に読めます。

アダルト・チャイルドが人生を変えていく本」は、アダルトチルドレンを中心としたセミナーや出版物を手がけるアスク・ヒューマン・ケアの研修相談室による本です。 同じくアダルトチルドレンについて扱う「アダルト・チャイルドが自分と向き合う本」の続編で、自分と他人を分ける自他境界を設けることに始まり、自分自身の人生を送るためのステップについて、順を追って解説しています。 アダルトチルドレンを自覚した人が、どうやって生きていけばいいか迷った時にオススメの一冊です。

日本におけるホメオパシーの第一人者・由井寅子さんの著書「インナーチャイルドが叫んでる！」は、インナーチャイルドという観点からアダルトチルドレンの克服法について著した本です。 インナーチャイルドは「内なる子ども」と訳され、やりたいことをやろうとする素直な内面の自分を、幼少期の自分に投影したイメージのことを言います。 このインナーチャイルドが受けた傷を癒すことによって、アダルトチルドレンを克服することができるという見地に立った本です。

アダルトチルドレンの克服にあたり、自己肯定感を高めるのにオススメなのが、赤羽雄二さん著の「ゼロ秒思考」です。 この本では、1件1ページ・1日10ページのメモ書きによって、思考力を高めるメソッドが紹介されています。 実践した人の多くが「自分に自信が持てるようになった」「素直に自分の気持ちを表現できるようになった」と話していて、自己肯定感を高めるための訓練としてオススメの一冊と言えるでしょう。

アダルトチルドレンの克服方法について紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか。 克服にあたって、何より大切なことが一つあります。 それは、自分がアダルトチルドレンであるのを自覚することです。 自覚せずに放っておくことは、さらに事態を深刻化します。 決して自分が悪いと思わず、家庭環境や過去と向き合うことでよりよい人生を送れるはずです。